6
哀しかったんだ。
寂しかったんだ。
如月は、わかってくれた。
抱き締めてくれた。
傍にいてくれた。
いつかいなくなるかもしれないけど。
今だけでも、かまわないと思った。
傍にいたいと、思った。
「如月、」
「ん?」
「きさらぎ、もっ……俺の前から、いなくなる……?」
返事を聞くのが怖くて、顔を伏せた。
けれど顎を掴まれて顔を上げさせられ、如月の真っ直ぐな目に射ぬかれた。
「ずっと、ここにいる」
「………!」
涙が、出た。
一人じゃないって、思っていい?
失う恐怖は、忘れてもいい?
如月の傍に、いていい?
「きさらっ……如月、」
「なに」
「き……キス、していい、?」
如月は少しだけ驚いた顔をして、そして少しだけ笑った。
腕を如月の首に回した。
如月が俺の腰に腕を回した。
如月。
如月。
俺、お前が好き。
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