3
side.樹
館林の家に戻ってくると、リビングで床に座り込む館林を見つけた。
ゆっくりと顔を上げられて、目が合った。
「なんで、ここに……?」
「なんでって……お前、公園で倒れたんだ」
「………」
覚えていないのか、館林は首を傾げただけだった。
……大丈夫か、こいつ。
「よくわかんないけど、ありがと。ごめん、迷惑かけて」
「っ!」
館林は何事もなかったかのように緩く笑い、寝室に戻るのか立ち上がったが、足元がふらついた。
しゃがみこんだところに駆け寄り、抱き抱えようとするけれど、
「さわるなっ……」
「!」
ぱしん、と手を叩かれた。
俺が触れた腕を触りながら、館林は顔を背けた。
……なんだ、それ。
「何だよ、俺、なんかした?」
「………別に。もう、放っといて」
「………」
自らの腕を握るその手が震えているのを、館林は気付いているのだろうか。
フローリングに座り込んだまま、対峙した。
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