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目が覚めた。
自分の家の寝室だった。
何故、ここにいるのか。
霞んだ記憶を探るけれど、よくわからなかった。
ただ、如月がいた気がした。
ふらつく身体でリビングに行ったけれど、そこには誰もいなかった。
残ったままの煙草の吸殻を見て、目を閉じた。
ぺたり、とフローリングに座った。
涙は、もう出なかった。
頭がやけにぼんやりした。
ただ、俺は完全に一人になったという事実だけが、そこにはあった。
待ってた。
迎えにきてくれるのを。
普通の家みたいに、家族を、することを。
「…………馬鹿じゃねえの」
父親が出ていった日から。
母親が寄り付かなくなった日から。
わかっていたはずなのに。
わかってるのに。
身体が動かない。
何もかもがどうでもいい。
無理だったんだ。
当たり前の、幸せとか。
如月だって、俺のことを好きって言ってくれたけど。
一生、一緒にいてくれる保証なんてどこにもない。
やっぱり俺は、
一人で生きていくんだ。
途端、ドアが開いた。
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