7
 

side.樹



適当に走り回って、館林を探した。
雨が降ってきたが、構わなかった。
自分はどうでもよかった。

アパートから近い公園のブランコに、一つだけ影があった。
雨に打たれながら、爪先で軽くブランコを揺らしている。



「たて、ばやし……」
「………如月……?」



ぼんやりとした目で、びしょ濡れになった館林が俺の名前を呼んだ。

思わず駆け寄った瞬間、館林の身体が前に傾いだ。



「っ!」



咄嗟に屈んで受けとめると、弱々しく、館林が俺の首に腕を巻き付けた。



「っ俺、ひとりに、なっ……」
「え?」
「ひとりに、しなっ……で」



泣いてる。
身体が熱い。



「お前、熱が」



抱き締めたその背中は、微かに震えていて。
薄らと骨が浮いてしまっているそれを撫でると、安心したように、館林は意識を失った。



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