5
side.樹
一般的な、アパートの一室。
表札を一瞥してチャイムを鳴らすが返事はなかった。
「館林?いないのか?」
ノックしながらいうが、案の定返事はなかった。
握り締めていた携帯も、何も反応しなかった。
無視しているのか、出られないのか。
「………くそ、」
無視される理由がわからない。
思いを伝えたから?
でも館林は、受け入れてくれた。
だったら、連絡が出来ない状況にあるのか?
前回のように、誰かに拘束されてるのか?
事故にあった?
倒れている?
……死にたがりの館林は、
「っ………」
想像すると、冷えるようで。
ただ、会いたい。
無事でいてほしい。
俺は当てもなく走りだした。
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