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自分の家なのに、久しぶりな気がした。
さらにその久しぶり感を助長させたのが、半年ぶりに見る母親の靴だった。



「……帰ってきてたんだ」
「……あんた、まだ真面目に学校行ってたの」



リビングで、母親が煙草をふかしていた。
半年経ってもその姿は、ちっとも変わりはしなかった。

16で俺を生んで、今は30代前半。
同年代の母親としてはかなり若い方だ。



「昨日からココいるけど、帰ってこなかったね」
「……友達ん家、行ってた」
「そ」



母親は煙草を灰皿につぶして、立ち上がった。



「もう、ここには戻ってこないから。全部の荷物は運びだしたし」
「え?」
「ああ、心配しないで。卒業はさせるし、生活費も送るから。卒業したら自分で、」
「違う、そうじゃないだろ!」



思わず、声が大きくなった。
母親はびっくりした顔をしていた。



「今までも私いなかったんだから、変わんないでしょ」
「変わる、変わらないじゃなくて。もう戻ってこないって、どういう」
「……遥、寂しいの?」



久々に名前を呼ばれて、言葉が詰まった。



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