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「え?お父さん?」
「1週間だけ帰ってくるらしくて。悪い」



如月は申し訳なさそう……を通り越して、哀しそうにそう言った。

如月から告白された日、夜にお父さんから連絡がきたらしい。
お父さんは今は単身赴任で遠くにいるとか。

正直言って、いいタイミングだったと思う。
いつもみたいに如月の家に帰って過ごしたわけだけど、如月の気持ちを知ってしまった後ではわけが違う。
妙に緊張してしまった。

だから今、少し距離がおけるのは、俺にとってはありがたいことだった。
嫌い、とかそんなんじゃないんだけど。



「急で悪い。もっと早く親父も言ってくれれば」
「仕方ないよ、仕事だし。つか、俺もそろそろ帰らなきゃと思ってたし」
「………」



如月があからさまに哀しそうな顔をした。



「や、違う。出ていくとかじゃなくて。様子見に行きたくて」
「…………そうか」
「ちょ、勘違いして、」



言い終わる前に、抱き締められた。
告られたが昨日の今日だ、俺は意識してしまって無意識に身体を固くした。
如月が安心させるように、頭を撫でてくれた。



「本当は、行って欲しくない」
「え、」
「離れたくない」



子ども、みたいに。
珍しく如月が我儘いってる。



(なんか、かわい……)



はっとして、思考を打ち消す。
……何考えてんだ、俺。



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