5
「っ……て、照れんなよ、こっちが恥ずかしいだろ」
「照れてない。お前が鈍いのが悪い」
どうしていいかわからない。
心臓がどくどく言ってる。
如月が、俺のこと、好き?
俺は、如月のこと――?
「い、いつから、」
「最初から」
「?」
「うちに呼んだ時から」
「っええ!?」
やっぱり鈍いな、と如月が耳元で溜息をついた。
……自分でも鈍すぎだと思えてきた。
「じゃっ、じゃあ、何で、シなかったの」
「……は……?」
如月はおもむろに身体を離して、俺の額をぺちっとたたいた。
照れてるのか、少しだけ顔が赤い。
……初めて見る表情。
「おまっ……本当に馬鹿だなあっ」
「ば、馬鹿って」
「俺がどれだけ我慢してたと思っ……」
そこまで言って、はっと口を手で押さえた。
え、ちょっと、待って。
「如月、え、」
「………んな好きな奴を、簡単に抱けるか」
ふい、と目をそらされてしまった。
「あー……もう忘れろ。終わったし、授業戻ろ、う……?」
「………」
思わず、如月の空いている手に、しがみついてしまった。
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