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目が覚めた。
一人ベッドの中で、頭を回転させる。
(ええと、)
羽鳥先輩、に襲われて。
如月が助けてくれて。
(っ、俺泣いたっ……)
家に帰って。
ちょっと喧嘩して。
殺されかけて(俺がけしかけたんだけど)。
「………あ」
覚えてる。
意識が薄れかけたとき、囁かれたあの言葉。
(「……好きだ)」
(え、ちょ、待て)
一人で混乱した。
嘘だ、だって如月が。
眉目秀麗、文武両道、何もかも完璧な如月が。
俺のことが―――好き?
(「………愛してる」)
(……っ)
あのときの声が、まだ耳の奥に、残ってる。
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