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あれから如月は、あんまり口を開かなかった。
いつものように飯を作ってくれて(スープだけは俺も食べられる)、風呂も借りた。
如月の大きすぎる服も借りて、髪が濡れたままリビングへ行く。
怒ってるのかなんなのか、無表情のまま俺を一瞥した如月は、ぽんと隣をたたいた。
……隣に座れってこと?
「何、如月」
「……」
隣に座ると、如月は乱暴に髪をタオルで拭きはじめた。
「わっ……ちょ、如月」
「………」
「何か喋れ!」
なおも如月は俺を無視し続けた。
段々むかついてきて、俺も何も話さなかった。
ようやく髪が乾いたのか、如月が手を止めた。
俺はその隙に離れようとしたけど、タオルで顔を隠されたまま、後ろに引き寄せられた。
「ちょ、え、」
「………」
真っ白な視界の中、身体がふわりと浮いた。
落ちるかもという恐怖もあって抵抗できず、気付いたら、ぽすんとベッドに寝かせられた。
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