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side.樹



「じゃあ……なんで?」



館林が動揺しているのがわかる。
どうしていいのかわからないのだろう。



「ここに毎日来るだけでいい。それが契約だ」
「……はぁ?」



俺だって男だ。
館林が―――好きなやつが目の前で無防備で寝てたら、抱きたくて仕方なくなる。

でも。
身体目当てじゃない。
欲望をぶつけたいわけじゃない。

そばにいてくれれば、それでよかった。

館林にとって俺がただの「客」なら。
一度抱いてしまったら、それは固定されるんだろう?



――なんて、言えずに。



「嫌なら、出て行ってもいい。そもそも俺が無理矢理頼んでるわけだし」
「別に嫌とかじゃ」
「だったら……ここにいろ」



愛おしい、この子。


無意識に、手が伸びていた。
少し赤く蒸気した頬に触れると、恥ずかしそうに目を背けられた。
長い睫毛が、微かに震えている。

ただ、その存在が、愛おしかった。



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