6
side.樹
結局、3分の1くらい食べたところで、館林は戻してしまった。
何があったか知らないが、相当吐き癖が染みついて、胃が受け付けないのだろう。
無理して食べさせないが良かったかと思いつつ、くたりとした館林をベッドに運んでやった。
「……め、ん、」
「ん?」
館林がぽつりと呟いた。
「ごめん……折角、作ってくれたのに」
「……いい。気にすんな」
「如月は客なのに。俺、何もしてないね」
「……いいから。今は寝ろ」
頭を撫でてやると、しばらくして寝息が聞こえてきた。
「……客、か」
売りをしている館林にとって、俺は客でしかないのだろう。
だからと言って、俺は周りの客と、同じじゃない。
(そんなんじゃ、ない)
身体目的じゃ。
欲望をぶつけるだけじゃ。
本当は――――。
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