5
 

「とりあえず少しでもいいから食え。お前ふらついてるぞ」
「………」



気付いたら如月が、温かい雑炊を作ってくれた。
……美味しそう。



「吐きたかったら吐いてもいいから。な?」
「………」



如月が掬って差し出してくれるけど、俺は口を開きたくなかった。
作ってくれたのに申し訳ないけど、吐くことを考えると気持ちが悪くなる。

そもそも食事なんて、生きる活動そのものだ。
俺はさっさと、死んでしまいたいのに。



「ごめん、きさらっ……っむ、」
「いいから食え」
「んーっ!」



如月が口にスプーンを突っ込んできた。
頭を後ろから押さえられて、逃げられなくなる。



「そのまま飲み込め。吐くなよ」
「……!」



いつもとは違う凄んだ様子に、俺は思わず飲み込んでしまった。
じわりと、温かさが広がる。
コンビニの弁当なんかとは違う、手作りの温かさも一緒に。



「……おい、しい……」
「……よかった」



ふわり、と。
仏頂面の如月が珍しく笑うもんだから。

もう少し食べてやろうかな、なんて、思ってしまった。



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