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あれから俺は、朝まで如月の家で眠っていた。
風呂も借りてしまった。
飯も作ってもらったけど、俺はほとんど、食べられなかった。
そこまでしてもらったくせに、俺は如月に何もしていなかった。
けれど、如月は俺に金を渡そうとした。
「いや、いいって。俺、迷惑かけてばっかだし。何もしてないし」
「俺がお前を拘束した、その金だ」
「拘束って……俺が得しただけだろ」
そんな押し問答が続いた。
どんだけ律儀な奴なんだ。
「ほんと、金はいいから」
「……じゃあ」
「え?」
「また、今日も来てくれ」
俯き加減に、如月は言った。
「それでチャラだ」
「へ?何がチャラなのかよくわかんないんだけど、」
「とにかく!今日も学校終わったらここに来い」
半ば強引に、約束をつけられた。
……変な奴。
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