5
黒い革張りのソファに座らされ、コーヒーを差し出される。
隣に、如月が座ってきた。
いつもとは違う流れに、俺は戸惑った。
大体は家に呼ばれたら、挨拶はそこそこにして、すぐ行為に及ぶ。
金を貰うわけだし、行為のために来てるのだから、もてなしなんて不要だ。
けど。
(ま、いっか…)
コーヒーを一口すする。
緩い雰囲気の中で、一言二言、如月と会話をした。
「お前、ちゃんと授業出たがいいと思うぞ?」
「出たってわかんねえもん」
「俺が教えてやろうか」
如月が、苦笑した。
(、笑った)
(こんな風に、笑うんだ)
新たに見えてくる、如月の色んな表情。
すごく、新鮮だった。
「館林?……眠い?」
「ん、……ちょっと」
そんな時間を過ごしているうち、だんだん眠くなってきた。
実はここに来る前にも1人相手をしていて、体力的に疲れていた。
言葉にすると眠気が強くなった気がする。
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