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半ば強引に携帯のアドレスを交換させられ、その日は別れた。
その晩、予想通りにメールがきて、次の日の放課後に如月の部屋に行くことになった。
断ってもよかったが、俺にとってはどうでもよかったし、何よりあの如月が、という興味があった。
そして。
「301号室……ここ、か」
俺は如月の家にやってきた。
驚くことに、如月の家は俺の家からさほど遠くはなかった。
チャイムを押すと、しばらくしてドアが開いた。
「どーも」
「わざわざ悪いな」
如月はいつもと違って、制服を軽く着くずした感じだった。
(………)
如月が文武両道ではなく眉目秀麗と形容されるのは、この容姿のせい。
ネクタイを緩め、胸元が少し開いた格好は。
―――とても、色気があって。
「中、どうぞ」
「あ、りがと。……一人暮らし?」
「父子家庭で。父親は単身赴任で今いない」
「……そ」
中はモノクロ調に整えられていて、綺麗だった。
非の打ちどころがないというのは、こいつのようなことを言うのだろうと思った。
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