2
「っ……ん、あぁ……っ!」
「なんで、俺を選んでくれたの?」
立ち入り禁止の屋上。
フェンスに指を引っ掛けて、崩れ落ちそうな身体を必死で支えた。
後ろでメールの送信者であり、本日の客が、欲望を俺の中に突っ込んでいた。
「なん……と、ンっ、なく……」
「何となく?つれないね」
「あっ……、いぁっ」
動きが激しくなって、さらにフェンスをぎゅっと握った。
しばらくしたら相手は俺から自身を抜き、アスファルトに白濁を出した。
「何となくでもいいや。また気が乗ったら相手してよ」
「……どうも」
3万円手渡され、ひらひらと手を振って去って行った。
名前も学年も知らない人。
適当に万札をポケットに突っ込んで、その場に座り込んだ。
何やってんだろうな、と自分に問い掛ける。
滅多に家に寄り付かない、浮気性の母親。
数年前に蒸発したっきりの、父親。
情けで高校には通わせてもらってはいるが、意味があるとは思えない。
自分の子どもが、授業さぼって体売ってるなんて。
(思っても、ないだろうな)
わかっても、止めたりはしないだろうけど。
前へ top 次へ