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休み時間。
辺りは喧騒に包まれるなか、俺、館林遥は携帯を開いた。
メール22通。
登録されていないアドレスばかりだった。
見覚えがあるアドレスを選んで、メールを開く。
『5限終了後。屋上』
素っ気ない文体に、思い当たる人がいた。
(たしか、このアドレス)
(先週、相手した奴だ)
名前なんて覚えていなかった。
誘われて、売りを始めた。
お金には困ってなかったし、自分から売り出したわけでもない。
話が人づてに伝わり、今では1日に何通もメールが届くようになった。
断ってもよかった。
すぐ辞めてもよかった。
でも、続ける理由もなければ、辞める理由もなかった。
どうにでもなればいい。
そう、思っていた。
自分の身体なんて、どうでもよかった。
体裁も世間体も、どうでもよかった。
ただ、生かされるがままだった。
(誰か、俺を)
―――早く殺してくれ。
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