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この家に戻るのは、久しぶりだった。
本当は2週間だけだったのに、何年も離れていたような気がして。
涙が、でそうだった。



「樹、あのね」
「ん」



俺はソファに体育座りして、マグカップを両手で包んだ。
樹は俺の隣に座っている。

短い入院生活が終わり、この家に戻ってきた。
腕の包帯はまだとれていない。



「俺、自分が嫌いなんだ」



ずっと伝えなくちゃと、思っていたこと。



「弱いところも、馬鹿なところも」
「………」
「自分一人じゃ何もできなくて、だから」



マグカップの代わりに、腕を掴んだ。



「だから、俺のそばにいたら、樹が駄目になるって思った」
「……ん」
「離れて、でも、俺、」



樹は静かに俺の言葉に耳を傾けてくれた。



「こんな俺でも、

そばに、いていい……?」



頭を寄せられて、樹の顔が近付いた。



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