3
side.樹
だん、と壁に肩を押さえ付けられた。
鈍い痛みに顔をしかめながら、押さえ付ける手をそっと離させた。
「……何ですか」
「別れたんだって?」
放課後、教室に呼び出された俺は羽鳥と対峙していた。
「……そうですよ」
「っ……お前、なあっ」
また胸ぐらを捕まれる。
羽鳥から殺気だった雰囲気が漂うのがわかった。
「なんでお前っ」
「……遥が、言ったんです」
「え……?」
緩んだ羽鳥の手に、動揺を感じ取った。
「俺だって……別れたくないですよ、でもっ……遥が、俺といて辛いなら……」
「………」
「遥が決めたことなら、いいんです俺は……」
「……遥はきっと、一人で泣いてるんだろうね」
ぽつりと呟いた声に、次は俺が反応した。
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