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死にたいと言うよりは、この世から消えたいと言う方が近い。
「ん、んんっ……」
「最近はやめたって聞いてたけど」
また始めたの?と背後から俺を突く男は言う。
「関係、なっ……んっ」
「……ま、いいや。結構気に入ってたし、君のこと」
早く終われと思いながら、終われば誰かを呼ぶんだろうと頭では理解していた。
もうどうでもよくなっていた。
またひっきりなしに、誰かと身体を重ねる生活を始めた。
こんなどうしようもない俺なんて、早く死ねばいいのにと思うばかり。
けれど自分で死ぬ勇気は持ち合わせていない。
だから誰か、俺を、
「何、考えてる?」
「ひっ、……うぁっ!」
「俺以外のやつとか?俺以外にも客いるんだろ?」
どうしたらいいんだろう。
どうしたら、俺は報われる?
わからないんだ。
俺は俺が嫌いなんだ。
誰かに頼らないと生きていけない弱い俺が、嫌いなんだ。
だから―――樹を、引きずり込んじゃ駄目なんだ。
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