2
律動されて、苦しくて涙が出た。
やめて、と言いたくて。
苦しくて、痛くて。
でも、声はあげられない。
痛みを、俺も、味わう。
「やっ、んっ……う、ぁっ」
「っ……」
きっと、これは最後。
最後なら、お願いだから、
「手っ……離し、てっ……」
樹が束ねる手を緩め、俺はあいた左手を後ろに伸ばした。
身体をひねって樹を見る。
「泣かな、で……」
「っ……」
樹が、泣いてる。
繋がったまま、頬に流れる涙を拭ってやった。
そっと、手を重ねてくれた。
「ごめん……ね……」
「………」
最後の痛みを、
最後の愛情を、
最後の、名前を、
「樹……」
俺は、そのまま意識を手放した。
返事は、聞こえなかった。
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