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びっくりした。
樹が後ろから抱き締めてくれて、耳にキスされた。
「ごめん。俺も焦ってて言葉が足りなかった」
「違っ……俺が、我儘、っ」
「いいよ我儘で。……遥はすぐ溜め込むからな、我儘言うくらいでいい」
するりと腰を撫でられて、びくりとしてしまった。
「俺と雨宮は何もない。……わかってると思うけど」
「……ん、」
「でも不安にさせた、ごめん」
じわりと、温かくなる。
「我儘でいいから、ちゃんと言えよ」
「……ん、」
「俺も不安にさせないようにするから」
くん、と肩をひかれて唇を重ねられた。
額、瞼、頬と動いて、いっぱいいっぱいになる。
樹の首に腕を回して、強く抱き締めた。
「お、俺と……話してるとき、電話、やだ」
「ん」
「一人で寝るの……やだ」
「ん、」
我儘。
「傍に、いてっ……」
「……ん」
俺の我儘、聞いて?
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