5
布団にくるまって、隠れて泣いた。
樹の匂いがして、もっと苦しくなった。
仕方ないってわかってる。
陸が気遣いができる、優しいやつだってことも。
俺の、我儘なんだって。
「っ、ぅ……く」
でも、涙が止まらない。
俺だけを見てほしい。
でも、我儘言って嫌われたくない。
寂しくて、寂しくて。
ふと、がちゃりとドアが開いた。
俺は咄嗟に寝たふりを決め込んで、ぎゅっと布団を握った。
壁側を向いて入ってきた樹に背を向ける形になっていると、背後に気配がした。
ぎっ、とベッドが鳴る。
え、と思ったときには布団を剥がされていた。
「何で泣いてるんだ」
「っ……」
バレた、と思ったら涙腺が一気に崩壊した。
困らせて、面倒かけたくないのに。
「ごめっ……ごめ、ん」
「何で謝る」
「っ……気に、しな……で」
未だ背を向ける俺の頭を、樹が優しく撫でるから。
ぎゅうっとなってしまって。
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