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「はい、じゃあ来週の総会について」
樹が教卓に立って、みんなに話し始めた。
俺は肘をついて、ぼんやりとその姿を見ていた。
樹はクラス委員だ。
今度ある総会の準備に追われているらしい。
てきぱきと意見を集約する樹はほんと文武両道、眉目秀麗といった感じで。
(俺なんか、)
馬鹿だしチビだし、さして顔は良くないし。
あんな樹の隣にいていいのかなって、たまに不安になる。
不釣り合い、っていうか。
「じゃ、クラス意見としてこれを提出するという報告で。……雨宮、書けたか?」
「ん、大丈夫」
樹が傍らで黒板に書かれたことをノートに映す雨宮を気に掛けた。
雨宮陸はクラス副委員だ。
樹のサポート役みたいなもの。
すらっとしてて、男なのに綺麗な顔立ちをしている。
何でも、ファンクラブまであるとか。
(あれ、なんか……)
教卓に立つ二人。
綺麗な顔が二つ。
(お似合い、じゃね?)
樹と陸。
お似合いってだけで、好意があるかは別だけど。
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