4
 

冗談でも、怖かった。
樹がいなくなるかと思った。
もう、誰かを失うのは、嫌だ。

泣きじゃくる俺を抱き締めていた樹が、そっとキスをしてくれた。
啄むようなそれは口だけでなく、額や頬や瞼にも降ってきた。



「ん、っ……いつき、」
「……そんな声出すな」



とまらなくなるだろ、と樹は首元に口付けて、吸った。



「見て、遥」
「え……?う、ゎ、」



顎をひいて俺は自分の身体を見た。
鎖骨のあたりから胸元まで、赤い印がちりばめられている。
首元は見えないけれど、きっと同じような状態になっているはずだ。



「なっ、これ、付けすぎっ……」
「気付いてなかったのか?」
「っ……たりまえだ!」
「消すなよ」



つつ、と樹が印をなぞった。
くすぐったくて身動ぎすると、樹がまた俺を抱き締めてくれた。



「やっと、俺のものになった」



耳元でうれしそうに、樹が言うもんだから。



「……ずっと、だよ」



俺も抱き返した。



前へ top 次へ

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -