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「なっ……何、言って」
「声、擦れてる」



言われて、かぁと顔が赤くなるのがわかった。
昨晩の出来事が次々に思い出されて、俺は恥ずかしさで爆発したくなった。



「っ、樹のせいっ」
「俺?」
「っ……!意地悪いっ」



ぐるりと樹に背中を向けた。

むかつく。
そもそも喧嘩してたんだ。
樹の誤解で俺はひどい目合わされて、結局は仲直りしたけど、そのまま流れで……あんなことして。
謝ってくれたけど、俺はまだ釈然としない。
すごい傷付いたんだもん。
俺だってほいほい許さずに、少しは怒ったっていいくらいだ。



「つーか、俺、それなりに傷付いたんだけど」
「え」
「え、じゃねーよ!」



すっかり忘れてるし……!
俺は腹立たしくなって、さらに距離を置いてやった。
温もりが離れて、少し寒かったけれど。



「俺、まだ許してないからっ!その、昨日ので、うやむやにしようとしても無駄だからな!」
「……離れんなって」
「近付くなばか!」
「馬鹿って」



なんだそれ、と樹はくすくす笑った。
俺、完全に馬鹿にされてる。
反省してんのか、こいつ!



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