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目を覚ましたら、肌寒く感じた。
ぼんやりした頭の中で布団をたぐりよせ、ぎゅうと丸まった。
目の前にぶつかるものが温かくて、すがるようににじり寄った。
ふと、背中に何かがあたった。
手だと気付いて、あ、樹がいる、となんとなく思って、
「……起きた?」
「……てない」
「寒い?」
「……んー……」
頭を寄せられて、ふわりと抱き締められた。
……あったかい。
「あったかい……」
「また寝る?」
「うー……」
眩しいのは昼だからか。
でももう、なんだか身体がだるかった。
とても、眠くて。
「遥、起きて」
「やー……」
「……もっかいしていい?」
「んー……え、え!?」
思わず聞き逃しそうになった。
そこで意識がはっきりした俺は、ぱっと樹の顔を見た。
珍しくにやにや笑っている。
……やな予感。
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