6
side.裕二
「何やってんだ俺……」
一人になった部屋で、俺はドアを見つめていた。
あの後、如月くんが追い掛けてきて俺に頭を下げた。
俺と遥が一緒にいたのを見て、誤解したと。
遥を傷付けたと。
如月くんに言った「俺が遥をもらう」ってのは、あながち嘘でもなかった。
如月くんを部屋に呼んで、もし遥が俺を選べば、そのまま退散してもらうところだった。
「やっぱ……駄目かぁ」
遥を誰よりも大切にできる自信はあった。
でも、遥は―――如月くんを選んだ。
あの時如月くんを部屋に呼ばず、遥の傍に俺がいてやれば、いつか遥は俺を選んでくれたのかもしれない。
でも、それは違う。
好きなやつには、好きなやつと、幸せになってほしいから。
(……なんつー損な役だよ俺)
けれど、あんまり、悲しくはない。
「……しあわせになれよ」
寂しがりやで、強がりで、
意地っ張りで、我が儘で、
俺が好きだった、遥。
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