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side.裕二



「何やってんだ俺……」



一人になった部屋で、俺はドアを見つめていた。

あの後、如月くんが追い掛けてきて俺に頭を下げた。
俺と遥が一緒にいたのを見て、誤解したと。
遥を傷付けたと。

如月くんに言った「俺が遥をもらう」ってのは、あながち嘘でもなかった。
如月くんを部屋に呼んで、もし遥が俺を選べば、そのまま退散してもらうところだった。



「やっぱ……駄目かぁ」



遥を誰よりも大切にできる自信はあった。
でも、遥は―――如月くんを選んだ。

あの時如月くんを部屋に呼ばず、遥の傍に俺がいてやれば、いつか遥は俺を選んでくれたのかもしれない。
でも、それは違う。

好きなやつには、好きなやつと、幸せになってほしいから。



(……なんつー損な役だよ俺)



けれど、あんまり、悲しくはない。



「……しあわせになれよ」



寂しがりやで、強がりで、
意地っ張りで、我が儘で、
俺が好きだった、遥。



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