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「いただきます」
「いただきます」
きちんと手を合わせて、目の前の朝食にご挨拶。
朝は軽め。
こんがり焼けたトーストは、めぐむが作ったパン。
ママレードのジャムもお手製だ。
硝子皿に入った苺は隣の佐久間さんからいただいたもの。
野菜スープには宣言通りにパセリを散らした。
ヨーグルトも手作り。
めぐむは朝から食べる。
食べるくせに、身体は小さい。
どこに吸い込まれていくのか、いつも謎だ。
「甲斐さん、きょうは、なんじ?」
「十一時」
「はーい」
会話の間に、トーストを、ぱくっ、ぱくっ。
大きな目はまだ半覚醒のようで、とろんとしている。
それでも口は元気に開いて、ぱくっ、ぱくっ。
今日もめぐむは元気だ。
十一時から仕事に出る。
ここから車で三十分して出た街の、花屋で働いている。
『このこ、ぐあいわるいって』
それが、めぐむの最初の言葉だった。
「めぐむは何するの」
「佐久間さんと、ジャム作る」
「苺か」
「あと、みぃくんの散歩」
「……猫の散歩って、なんだそりゃ」
朝食は一緒に作って、一緒に片付ける。
俺が洗って、めぐむが拭く。
きゅ、きゅ、と磨かれる音が気持ち良い。
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