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前に渡された合鍵を使うのは、これで二度目だった。

一度目は、急に連絡がつかなくなったとき。
薫は風邪をこじらせて、そのくせ自分では何もできず、スマホの充電すらしていなかった。
ぐったりとしていた薫を思い出す。

基本的に薫は、生きる事に対しての執着がない。
ふらっと消えてしまいそうな、そんな危うさがある。



「かおっ……」



ぞっとした。
部屋はカーテンが締め切られて、薄暗かった。

リビングのソファから、だらりと細い腕が伸びていた。
薫の、傷だらけの腕。
その先にある、床に転がったスマホ。

机の上に散らばるのは、大量の薬剤シートだった。



「かおっ、かおるっ、かおるっ!」
「……ぅ、」



肩を揺らすと、薫は白い顔のまま、眉間に皺を寄せた。
まだ、意識がある。



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