1
 

「かおる?」



突然電話がかかってきたかと思ったら、機械の向こうは無音だった。
名前を呼んでも返事はない。

ただ、静かな息使いだけが聞こえていた。



「かおる、どうしたの」



返事はないまま、ごと、と重い音がした。
もう薫の息使いすら聴こえなかった。
嫌な予感がした。

バイト上がり、バイクにまたがったまま。
すぐにスマホをポケットに突っ込んで、薫の家に走り出した。



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -