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「かおるっ!」
合鍵で部屋に入ると、嫌な空気が漂っていた。
昼間なのに薄暗く、締め切られている。
細い息が聞こえてくるのは、ソファの上から。
「かっ、かおる」
ソファにぐったりと横たわる薫がいた。
慌てて抱き起こすけれど、意識は薄く、首がかくんとのけ反った。
机の上には、大量の薬剤シート。
水が滴り落ちているグラスに、ぞっとした。
「薬っ……飲むなって、言っただろ!?」
怒りにまかせて叫んでも、薫の耳に届いているのかはわからない。
床に突っ伏すようにさせて、背中を撫でた。
「かおるっ、吐け、早くっ」
「……ゃ、」
「嫌がってる場合じゃないだろ!?」
もどかしくて、躊躇いもなく薫の口の中に手を突っ込んだ。
喉の奥を押すようにすると、薫の身体がびくりと震えた。
「っ、ぐ……う、ぇっ、」
「かおる、全部吐け」
「げほげほっ……けほ、っ、げほっ……」
ぱたぱた、と床に落ちるのは胃液。
形の残っている錠剤も見受けられた。
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