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どれだけの夜を明かせば良かったのだろうか。
どれだけ夢を見れば良かったのだろうか。
二人には、わからなかった。
ただわかることは、正すことは出来ないということだった。
同じかんばせが、目の前で笑う。
「間違ってたから、一緒になったの」
汽車はどこまででも続く。
甘い言葉を吐きながら、永久はどこまでも残酷だった。
これは罰なのだろうと思った。
終わりのない旅だった。
永遠に二人でいられる代わりに、永遠に終わらない旅だった。
だったら、どうか、と一は願う。
「とわは、幸せ?」
永久に願う。
そこに幸せがあるのなら、同じかんばせの一も、幸せだっただろう。
ふわ、と花が咲くように、永久は笑った。
「ずっと」
汽車はもう、止まらなかった。
後悔ももうなかった。
両手に残る刃物の感覚も、永久を突き立てた水っぽい感触も、腹に突き刺さる熱さも、頬を流れる涙の行き先も、もう後悔はしなかった。
ただ、ここにいられるのなら。
「いち、だいすき」
同じかんばせの、残酷な言葉。
一はただ、ふわりと同じ笑みを浮かべて、永久を抱き締めて応えた。
夢はもう、醒めない。
初めから、永遠まで。
一と永久はこうなるために、二人で生まれてきた。
同じかんばせをもつ、永遠の旅だった。
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