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side.日向



悠の身体が震えているのがわかった。
僕はそっと、悠の身体を抱き締めた。



「いいよ、怒ってないよ」
「ひな、」



記憶が戻る前、悠から手酷く抱かれる日々だった。
皮膚を噛み切られたりで、殴られはしなかったけれど、怪我をすることも少なくはなかった。

記憶が戻った今、僕の身体には傷痕だけが残った。



「……俺、酷いことした」
「……でも、今は、違う……」



悠が傍にいてくれること。
「悠」と呼べること。



「今は、しあわせ、だから……」



これ以上の幸せはないと思った。



「だから、っ」
「よくそんな台詞平気で言えんな」
「へ」



悠が起き上がって、ぽかんとしてる僕を肩に担ぎ上げた。



「え、わっ」
「風呂入るんだろ」



さっきの様子とは大違い。

でも、温かい。
僕は黙って、目を瞑った。



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