5
side.日向
「こっち」
「……?」
「穴場があんの」
悠に手をひかれるがまま、人込みを避けて歩いて行った。
人が疎らになって、僕と悠の二人っきりになる。
「どこ行くの、」
「ほら、ここ」
さっきの喧騒とは、少し離れたところ。
丘になっているそこに、一本だけ木がたっている。
それに背を預けて、座った。
「ほんとに、穴場?」
「見てろって」
ちゃんと見えるの?と思いきや。
「わ………!」
花火が、打ち上がった。
障害物もないそこは、綺麗に、花火が見えた。
「わ、すご……穴場っ!」
「裕二が教えてくれた」
あいつ遊び人だから色々知ってんだ、と羽鳥先輩のいらぬ情報まで聞かされた。
「きれーだね」
「ん」
べっこう飴も、他にも屋台で食べ物買って食べたし。
花火も、綺麗。
あぁ、夏って感じ。
「こんな近くで見たの初め、」
て、と続くつもりが、悠の唇に吸い込まれた。
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