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昔、日向が引っ越す前のこと。
一緒に、小さな商店街の祭りに行ったことがある。
甘いのが好きな日向は、べっこう飴を好んでいた。



「覚えてる。……アイス落として泣いたのも」
「泣い、てなっ……」
「迷子になって、放送で呼び出されたのも」
「っ………」



ますます顔が赤くなる。
これ以上からかうとやばいかも、と話をそらす。



「あ、べっこう飴屋あった」
「………」
「いらっしゃい」
「2つ」
「あいよー」



威勢の良い屋台のおじさんに飴を渡されると、日向の目がぱあっと輝いた。



「ぶっ……」
「なに、笑って」
「いや、単純だなぁと」
「……うぅー……」
「ふてくされんな、そういうとこが可愛いと思ってんだから」



頭を撫でてやると、また顔を赤くして、目をそらした。



「っ……ありがとう、飴、」
「どういたしまして」
「花火っ!花火、見よ!」



照れ隠しか、ぐいぐいと手をひかれ、花火会場へと連れていかれた。



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