3
 

浴衣姿の日向は、想像以上にキた。
でもせっかくの祭りだ、理性で押さえ込んで、街へと出た。



「わ、人いっぱい……」



まだ明るい夏の夕方、すでに歩行者天国になった道路は人で埋まっていた。



「わ、わわっ……」
「っ馬鹿」



人に流されて、小柄な日向が埋まってしまう。
咄嗟に手を掴んで引き寄せた。



「絶対離すなよ」
「人前っ……」
「迷子になられるよりマシ。つか、人多くて見えないだろ」



男にしては華奢で小さな手を、離さないようにぎゅっと握った。
……こういうことでもいちいち顔を赤くする日向が、毎回愛おしい。



「なんか食べる?」
「あ、えっと、」



目を輝かせながら、屋台をキョロキョロ。



「ひな、べっこう飴好きだろ」
「好き!……あ……」



ぱっ、と見上げられた。



「覚えて……?」



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