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side.日向



「ん」
「……なぁに、これ」



今日は生徒会がない日。
教室まで迎えにきてくれた悠と、一緒に帰った。
流れでやってきた、悠の部屋。
紙袋を渡された。



「どうせお前持ってないだろ」
「?」



何を?と中身を取り出す。



「……これ、?」
「浴衣」
「……え?」
「今日祭りだろ」
「へ」
「行くぞ」



……確か、司が言ってた気がする。
へぇ、そうなんだ、程度にしか思ってなくて、忙しいであろう悠に誘われたことに驚いた。




「って、浴衣っ、こんな、」
「なに」
「お金っ……」
「着てくれるならそれでいい」



……着る前提なんだ。



「ほら、早く」
「っ……」
「俺が着せる?」
「遠慮します!」



買ってくれたからには、着ないと申し訳ない。
こんな僕の性格を見越しての計画だと今は気付かぬまま、紙袋片手に寝室へと逃げた。



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