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「……わっ……」
「寝てろ」
日向を抱えあげると、驚いて首に腕を回してきた。
生徒会室の電気を消して、廊下に出る。
「まだ帰らないって……」
「部屋でやる」
ここじゃないと出来ない仕事でもない。
日向は安心したように目を瞑った。
「……迷惑、だった…?」
眠たそうな擦れた声で聞かれる。
「……別に」
「……ごめんね、わがまま言って……」
すぅ、と寝息が聞こえた。
昔から甘えたがりな奴だった。
転勤族で何度も転校を繰り返していたからか、いつもまわりを気にして。
代わりに心許せるやつには、思いっきり甘える。
その許せるやつに、俺がカウントされていると思っていいのだろうか。
そういうところ、すごくいとおしくなる。
(……もっと甘やかしてやるべきだろうか)
無防備な寝顔を見ながらそう思う。
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