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side.日向
「だっ……僕だけ……っ」
「でもまぁいいじゃん?結果オーライで」
ね、と羽鳥先輩が頭を撫でてくれた。
羽鳥先輩は悠と同い年で仲が良いけど、何か雰囲気が違う。
お兄ちゃんみたいな感じ。
「あれ、悠どこ行くの」
「職員室」
「そ。俺たちもう帰るけど」
「あぁ。俺はまだやることあるから」
お疲れ様ーと言いながら、羽鳥先輩と司が帰っていった。
一気に静まった生徒会室に、僕と悠だけ。
「……待ってて、いい……?」
「遅くなるぞ」
「……待つもん」
「……勝手にしろ」
悠も生徒会室を出ていってしまった。
やっと記憶が戻って、付き合い始めて。
今まで記憶がなかった時間が勿体なくて、これからの時間を大切にしたいのに。
……いつも通り過ぎっていうか。
「……なんだかなぁ……」
もうちょっと恋人らしくしてくれても、いいんじゃないかな……。
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