5
side.日向
僕は、悠の、こいびと。
くすぐったい響きに、顔が綻ぶのがわかる。
「ねっ……ねぇ」
「次はなんだ」
髪も乾き始めたころ、悠が訝しそうに聞いた。
「3年前の僕と、今の僕……何か、変わった?」
悠は見た目こそ成長すれど、内面的には変わっていない。
それこそ、昔の方がもっと愛想が良かった気がするけど。
「……変わってない」
「え」
「馬鹿なとこも、鈍感なとこも、抜けてるとこも」
「ちょっ」
「でも前よりかわいくなった」
……え。
「っ!……い、今のは忘れろ」
「えー!」
「忘れろっつってんだろ」
悠の頬が、少し赤い。
でもちゃんと聞こえた。
「わっ」
目を反らす悠に、思わず抱きついた。
「僕は前より、悠が、好きだよ」
「……ばーか」
昔も今も、僕の一番。
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