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「ゆう、」
「なに」
シャワーから上がった日向の髪を、わしゃわしゃとタオルで拭いてやる。
俺に向かって頭を垂れるその姿は、まるで子犬のよう。
今までこんなにも穏やかな時間を過ごしたことはない。
いつもは行為が終われば、俺たちの関係は『生徒会長と書記』になっていたから。
「あの……その、」
「なんだよ」
「っ……付き合って、る、んだよね……?」
ぴたりと手を止めた。
不安そうな声に、顎を掬って顔をあげる。
ちゅう、とわざと大きく音をたてて、キスをした。
「……当たり前だろ」
「……!」
「いちいち不安がるな。俺が好きって言ってんだ」
「……でも、付き合ってって、言われなかった……」
「は?」
呆れた。
お互い好きだとわかって伝えあったなら、あとは自明だろうが。
けれど真剣な日向の顔に、俺は苦笑する。
「何、笑って…!」
「なぁ」
もう一度、顎を掬う。
「俺のこいびとになって」
「!……は、っん」
返事は、聞かなくてもわかる。
唇を重ねて、言葉を吸い込んだ。
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