6
 

最後に、名前を呼んで欲しい。
耳に焼き付けるから。



「やっあ、も……いっ……」
「いいぞ」
「やだぁっ、やっ……」
「?」



かぶりを振って日向が何かを嫌がるので、俺は動きを止めた。



「どうした、」
「終わったら……もう、"終わり"だから……」
「………」
「やだっ……僕、っ」



今 なんて、



「最後っ……やだよぉ…」
「ひ、な」
「僕、はっ……ゆうが、好き、だよ……っ」



ぎゅう、と抱き締められた。
震えているそれは、確かに日向のもので。



「え……?」
「僕のこと、もう、嫌い……っ?」



信じられなくて。

でも腕のぬくもりとか。
繋がってる熱さとか。
甘い声とか。
嘘じゃ、なくて。

信じて、いい?



「……ずっと……好き、だった……」



遅くないなら。



「っ……!」
「好きで、今まで……ひどいことした」



日向の顔が、泣きだしそうに歪んだ。



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