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最後に、名前を呼んで欲しい。
耳に焼き付けるから。
「やっあ、も……いっ……」
「いいぞ」
「やだぁっ、やっ……」
「?」
かぶりを振って日向が何かを嫌がるので、俺は動きを止めた。
「どうした、」
「終わったら……もう、"終わり"だから……」
「………」
「やだっ……僕、っ」
今 なんて、
「最後っ……やだよぉ…」
「ひ、な」
「僕、はっ……ゆうが、好き、だよ……っ」
ぎゅう、と抱き締められた。
震えているそれは、確かに日向のもので。
「え……?」
「僕のこと、もう、嫌い……っ?」
信じられなくて。
でも腕のぬくもりとか。
繋がってる熱さとか。
甘い声とか。
嘘じゃ、なくて。
信じて、いい?
「……ずっと……好き、だった……」
遅くないなら。
「っ……!」
「好きで、今まで……ひどいことした」
日向の顔が、泣きだしそうに歪んだ。
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