6
side.日向
気付いたら、机に組み敷かれていた。
まだ肩に引っ掛けていた会長の上着が、ぱさりと床に落ちた。
「え、ちょっ……や、っ」
首元に吸い付かれた。
ちゅう、と吸い上げられるそれはキスマークで。
あの時を、ふと、思い出した。
「やあっ、や……っ!」
「……ひな、」
「や、怖っ……やだ、っ」
思い出して、涙が出た。
何度も身体を重ねた会長が、違う人と重なった。
待ち望んだ、はずなのに。
「ふぇっ……う、」
「……ごめん」
「あっ……やぁっ……!」
でも会長は、やめてくれなかった。
涙で、視界がぼやけた。
怖い、
怖いよ、
「……耐えられねぇんだ。……お前が、違う奴に抱かれたままなの」
「っ……」
「……ごめん」
優しく、会長は僕を、抱き締めた。
前へ top 次へ