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side.日向
僕の３年前の記憶は、曖昧になっている。
中学２年生の頃、事故にあったから。
幸い大きな怪我はなかったけれど、頭を強く打ったらしかった。
それ以来、覚えていることと覚えていないことが曖昧になっている。
『俺のこと、覚えてないのかよ』
初めて僕が高校２年で生徒会に入り、自己紹介をしたとき、会長はそう言った。
僕にとっては知らない人だったけれど、ぴんときた。
僕が忘れてしまった記憶にいた人なんだって。
それから会長は、僕にその話はしなくなった。
だから僕も、あまり気にしないようにした。
話をしない代わりに会長は、僕を抱くようになった。
最初こそは嫌がった。
けれど会長の力の強さと―――一瞬だけみえた哀しそうな顔が、僕の抵抗する力を奪った。
何かが心の奥にひっかかって、それが僕を留まらせた。
『ひな、ひな……っ』
そう呼ぶのは、僕の家族しかいない。
懐かしい呼び名は、３年前の記憶の中。
ねえ、
あなたはだあれ？
僕は、聞けないままでいる。
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