3
時折感じる、日向の視線。
気付かれてしまったのだろう、俺の想いに。
日向は受け入れてくれたのかわからない。
怖くて、怖くて、聞けなかった。
出来る事なら、昔のような関係に戻りたかった。
昔のような関係以上に、ちゃんと、想いを伝えて。
でも、俺は結局臆病だった。
日向に拒否されることを、恐れた。
きっと、これからも、
「……会長?」
日向の声にはっとした。
ぼうっとしていたらしい。
日向が心配そうに首を傾げて、書類を渡していた。
「……これに判子を」
「あぁ」
至って冷静なふりをして、判子を押した。
日向は有難うございます、と書類を下げて行った。
事務的な会話。
息がつまりそうだ。
これじゃ、前の方がマシだった。
本当は話したくて、触れたくて、抱きたくて、仕方ない。
前へ top 次へ