4
 

side.日向



ガンガンと響く頭で、僕は何かを思い出そうとしていた。
誰かが頭の中で何かを叫んだ。



あれは、転校してきてすぐのこと。

転勤族の宿命で、僕はあの街に引っ越してきた。
季節外れな転校生は珍しいのか、女顔の僕の容姿も相まって、転校して数日はからかわれて過ごした。
慣れてはいたけれど、やっぱりどこか怖かった。
怖くて隠れて泣いた。



「ひなには俺がいるだろ」



誰の言葉?



「………ゆう、」



僕は差し伸べられた手を取った。

困ったときにいつも助けてくれる、しっかり者。
周りを気に掛けて、自分のことは顧みない。
ぶっきらぼうで不器用で無愛想だけど、本当は誰よりも、優しい。

泣きぼくろの、あなたは、



「……ゆうと、ずっと一緒にいたい」
「……俺も」



僕は、
悠のことが、



(嗚呼、)



気付いてしまったんだ、



(泣きぼくろの、あなたは、)




会長……?



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -