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side.日向
ガンガンと響く頭で、僕は何かを思い出そうとしていた。
誰かが頭の中で何かを叫んだ。
あれは、転校してきてすぐのこと。
転勤族の宿命で、僕はあの街に引っ越してきた。
季節外れな転校生は珍しいのか、女顔の僕の容姿も相まって、転校して数日はからかわれて過ごした。
慣れてはいたけれど、やっぱりどこか怖かった。
怖くて隠れて泣いた。
「ひなには俺がいるだろ」
誰の言葉?
「………ゆう、」
僕は差し伸べられた手を取った。
困ったときにいつも助けてくれる、しっかり者。
周りを気に掛けて、自分のことは顧みない。
ぶっきらぼうで不器用で無愛想だけど、本当は誰よりも、優しい。
泣きぼくろの、あなたは、
「……ゆうと、ずっと一緒にいたい」
「……俺も」
僕は、
悠のことが、
(嗚呼、)
気付いてしまったんだ、
(泣きぼくろの、あなたは、)
会長……?
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