3
 

「頭、が、」
「ん」



日向が痛みに生理的な涙を流しながら、俺に縋るようにしがみついた。
顔色は最悪で、冷えた身体がどれだけ辛いか語っていた。
無力な俺は、ただ背中を擦ることしかできなくて。



「ひっ、……やっ、こわ、」
「ひな?」
「や、やっ……も、やだっ……」



後ろから何かくるかのように、背後に恐怖した。
脅えたように身体を震わせ、俺にしがみつく腕を強くする。
小さな身体で受けた恐怖が、どれだけ大きいものだったか思い知らされた。



「もう怖いことは起こらない」
「いや、やだ、怖いっ……」
「大丈夫だから、」
「かいちょ、会長っ……」



混乱している。
満月先生の言っていたパニック症状はきっとこのこと。
俺はただ落ち着かせるように、日向の頭をかかえた。



「……俺がいるから」



言って、何て安っぽい台詞なんだろうと思った。
どの口が言ってんだ、と自嘲したくなる。
日向がぱっと顔を上げて、涙を浮かべた苦しい表情のまま、



「……ゆう、」



囁くような声で、呟いた。
はっきりと、俺の耳にそれは届いた。



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