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side.日向



僕は、気付いてしまった。

会長は僕を手酷く抱くけれど。
情事後の優しい抱擁に。
懐かしむような呼称に。



不器用で無愛想で、いつもあの無表情に隠してる。
本当は隠れて泣いて、戦ってる人。
本当は、とても優しい人。

最初こそは会長が苦手で行為も嫌悪しても、柔らかな会長の僕を呼ぶ声を、甘受するようになっていた。
誰も呼ばない、呼称を。



「かいちょうが、いいっ……」



会長がいいと、あの暗闇の中で何度も思った。
優しくされていた、と気付いて涙した。



僕は、会長が好きなんだ。

でも言えない。
会長は僕をただの遊びなんだろうと思うから。
僕なんかに、本気なわけがない。

伝えて、断られたとき、今の関係が途絶えるのは辛いから。
せめて今だけは、利用させてほしい。



僕だけを、見ていて欲しい。
そう願ってしまった。



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